7日間なら誰でも頑張れる!
田舎から出てきたので都会が物珍しく、大学入学後は遊んでばかりいて、あまり勉強はしていませんでした。
私は東大生協の学生委員会に所属していたのですが、主な活動は生協の広報誌をつくることでした。高校時代に一度、漢字検定にハマッたことがあり、ゲームと同じように挑戦して結果が出ることに楽しさを感じていました。その経験もあり、資格取得のコラムを担当したのですが、いざ始めてみると、思ったほど資格試験に合格することができなかったのです。
学校の成績も、周りが優秀者ばかりで、落ちていく一方でした。高校までは勉強だけしていればよかったけれど、大学では授業や試験を受けながらアルバイトや課外活動もしなくてはなりません。
「これは今までとやり方を変えないとダメだ!」と、試験の対策を練るようになりました。
ほかの大学がどうかはわからないのですが、東大は、期末試験の過去問の情報流通がとても発達していて、先輩が過去問やレジュメを提供してくれたり、クラスごとに各教科の試験対策担当者がいて、過去問を入手してくれたりしました。私はたくさんの過去問に触れているうちに、「過去問を分析していけば、試験の傾向はつかめてくる」ということが、わかってきたのです。
高校時代にも、どんな問題が出ても解けるようにするため、宿題で出される問題集を片っ端からやっていました。思えばあれも大学入試の「過去問」でした。当時ははっきりとはわかりませんでしたが、ここにきて私は、「過去問こそ試験勉強の基本」だと確信したのです。
すべての範囲をまんべんなく勉強するのは難しいので、やるべき範囲をしぼり込んでいく際にも、過去問は非常に大きな役割を果たしてくれました。
次に戦略的に考えたのが、「いかに効率よく勉強するか」ということです。
勉強をしていて思ったのですが、時間があればあるほどやれるかというと、決してそうではありません。時間があるとかえってだれてしまい、ギリギリになるまでやらなかったりします。時間のあるなしに関係なく、結局やるのは「試験直前の1週間くらいなんだな」ということに気づきました。
そこで思い出したのが、高校時代に受け続けた、週1回の模試のサイクルでした。毎日朝から晩までやるのはしんどいけれど、あのときのように、7日間という区切りをつければ、頑張れるのではないかと思ったのです。
考えてみれば、7日間というのは、人の体にしみついたサイクルでもあります。ほとんどの人がこの7日間のリズムに慣れていることからすれば、試験勉強のサイクルにも当てはめやすいのです。
そして、この「直前1週間」のような差し迫った状況に置かれると、人は普段発揮できないような力を発揮することがあります。
たとえば、大きなイベントの準備で「直前1週間は忙しかったけれど、想像以上のことがやれた」というような経験はみなさんにもあるのではないでしょうか。ゴールまでの時間がいたずらに長いと、「今日じゃなくても、明日でもいいか」と、つい先延ばしにしてしまいがちですが、「7日間」というのは、だれることもなく、スランプに陥ることもないくらいの短い期間です。あえて余裕をなくしたほうが本気になれるため、高いパフォーマンスを生み出せます。
つまり、直前1週間は、普段とは「時間の密度」が違うのです。
同じ「1時間」でも、試験の1か月前だとまだ余裕があります。ダラダラしてしまい、勉強しても頭にあまり入っていなかったりします。それに対し、直前1週間は、時間的に追い込まれているので、勉強の「集中力」が違うのです。時間的価値でいえば、10倍くらい差があるといってもいいでしょう。
このような集中状態は長くは続けられませんが、7日間ならできます。
7日間なら、誰でも頑張れるのです。