どうすれば「主体性」を
取り戻すことができるのか

 辞任した松本前復興相の「知恵を出さない奴は助けない」という発言で思い出したのは、6月25日に発表された東日本大震災復興構想会議の『復興への提言』の中の以下の文章である。

 復興が苦しいのもまた事実だ。耐え忍んでこそと思うものの、つい「公助」や「共助」に頼りがちの気持が生ずる。しかし、恃むところは自分自身との「自助」の精神に立って、敢然として復興への道を歩むなかで「希望」の光が再び見えてくる。だから自ら人とつなぐはよし、いつのまにやら人とつながれていたでは悲しい。復興への苦闘のなかでこそ、人は主体性を取り戻し、それに「希望」を見出していくのだから。

「公助」や「共助」よりもまずは「自助」をという姿勢自体は否定されるべきものではない。「恃むところは自分自身との『自助』の精神」なくして人々の生きる力や社会の活力は生まれないし、「主体性」のないところに「希望」は生まれようがないと思うからだ。

 だが、どうすれば人々は主体性を取り戻すことができるのか。「自ら人とつなぐはよし、いつのまにやら人とつながれていたでは悲しい」と言うが、ならばどうすれば自らつなぐことができるのか。「共助や公助を頼みにせずに苦闘しろ」ということかもしれないが、そう言ってしまっては身も蓋もない。

 復興に向けた計画をつくり、実施していく主体はあくまでも地元市町村だが、だからと言って「市町村が主体性を発揮すべきだ」と突き放していればいいというものでもない。市町村の拠り所となるような、もっと市町村の立場に立った復興の理念や考え方を示すことが求められているのだと思う。

 そこで本稿では、日本総研が6月27日に公表した『市町村への緊急提言 復興の七柱~つながりと循環の街づくりを~』を下敷きにしながら、人々が「主体性」を取り戻し、自らを人と「つなぐ」ような、「主体性」ある復興に向けての3つの方策を提言したい。