――「仕入れ」と「提案」は編集者としてお仕事を間近に見ていますが、「サービス」というのも重要なんですね。

玉置 そうですね。この「サービス」も、「仕入れ」「提案」と同等に重要な業務です。契約期間中ずっとケアしていきますので、華やかな仕事ではありませんがとても重要ですね。

編集者の関心や思考から
提案する作品を考える

――「提案」の中には、玉置さんから紹介するケースと、編集者サイドから「これを」と依頼されるケースがあると思うのですが、その割合はどうですか?

玉置 紹介が6割、ご依頼いただくのが4割になるかなと思います。でも、この2つは切り分けられるものでなく、重なりあっています。

 作品がいかに良い形で世に出せるかを考えたとき、編集者さん、出版社さんと作品とのマッチングが非常に重要になります。そのために、私に限ったことではないと思いますが、出版社を訪ねたり個別にお話ししたりして編集者さんとは密に情報交換をしています。「いまどんな本を作っているのか」「どんなことに関心があるのか」を知り、作品とのベストマッチと思える「提案」を心がけています。

 出版社さんごとの得意ジャンルやプロモーション手法なども常に頭に入れて、「このテーマはあの人が興味を持っていたな」「これはあの出版社で扱ってもらえれば面白くなるな」ということを考えながら、それぞれの作品を紹介しています。

――編集者と作品のマッチング、たしかにこれがはまるとより良いものができると思います。

玉置 「この作品を紹介したい」と思う編集者さんは、作品ごとに何人か浮かびます。そんなときでも、こちらが意図していなかったダークホース、というと語弊がありますが、別の編集者さんから思わぬ手が挙がることもあります。それはそれでまた面白いのですが。

右は「週刊ダイヤモンド」に同梱された試読版

 編集者さんとお付き合いしていく中では、さらに踏み込んでご紹介することもあります。最近の例ですが、ダイヤモンド社さんから刊行された『希望をはこぶ人』のお話をしますね。担当の女性編集者さんとは長い付き合いなのですが、『希望をはこぶ人』はこれまで担当された本、興味を持っているジャンルとは少し違いました。ただ、お仕事ぶりや雑談の中で感じた印象から、「この作品は今の彼女に合うのではないか」と思ったんです。それで、本書の契約をまとめました。