総務大臣もクギ刺す

 今のところNHKの旗色は悪い。今回は、頼みとする政治家にそっぽを向かれた。NHKによるネット同時配信には放送法の改正が必要だが、自民党の佐藤勉・衆議院議院運営委員長ら放送族の大物議員が、「法改正のために動いた形跡はない」(テレビ業界関係者)。

 彼らより格下とされる高市早苗総務大臣も「現時点で速やかに(放送法を)改正すべきだとは思わない」とつれない。そればかりか、(1)ネット同時配信の具体的な需要を示す(2)従来の業務全体が公共放送として適当か見直す(3)子会社への業務委託などの透明化――という「三つの条件を満たして初めて、同時配信への議論の環境が整う」とクギを刺される始末だ。

 日本のテレビ番組のネット展開は他の先進国の後塵を拝しており、改革は不可欠だ。しかしNHKは今回、公共放送が果たす役割を十分に示すことができないまま、「視聴者からカネを取る方法だけを議論の俎上に挙げて、反発を招いた」(前出の関係者)。NHKの自縄自縛で、東京五輪に合わせた同時配信は風前の灯火となってしまった。

(週刊ダイヤモンド編集部 岡田 悟)