コラム:ニュー・グロース・ファクトリーが行った消費者調査の例

 P&Gは2010年10月、インドで〈ジレット・ガード〉というカミソリを発売した。転換的持続的イノベーションの産物である同製品のストラテジック・インテント(戦略意図)は単純であった。それは、両刃カミソリを使用している数億人のインド人に対して、より安くて性能の優れた代替品を提供することである。

 P&Gの調査員は、インドの消費者のニーズを理解するために数千時間を市場で過ごした。調査員たちは、農村部で暮らす男性を観察することによって重要な洞察を得た。農村部では、室内の水道設備が整っていないため、わずかな水だけで、あるいはまったく水を使わずに屋外でヒゲをそるのが一般的だったのである。また、毎日ヒゲをそるわけでもなかった。

 この結果を受けて、1枚刃の〈ジレット・ガード〉は、最小限の水でスムーズにヒゲをそることができ、長めの無精ヒゲにも対応できるように設計された。当初の小売価格は15ルピー(33セント)で、カートリッジ式の替え刃は5ルピー(11セント)だった。

 初期のテストでは、両刃カミソリよりもこの新製品を好む消費者は、6対1の割合で多いという結果が出ている。〈ジレット・ガード〉はその画期的な性能と安さにより、急成長が見込まれている。

〈ジレット・ガード〉
数千時間に及ぶ実地調査の結果、P&Gは、インドの多くの消費者にとって、1枚刃カミソリが両刃カミソリよりも安価で高性能な代替品になりうることを知った。