「好き」で食うためには
「好き」を継続させるシステムづくりを
「好き」で「食う」を実現する基本姿勢は、単純である。
「食う」の土台に意識を集中することだ。「好き」を極めることではない。好きなら勝手にやるだろう。
そうではなく、「好き」を継続させる「システム」の構築に意識を向け続けることだ。成功している事業は、それが企業のものであろうと、個人のものであろうと、「土台」に注力している。
たとえば最近の事例で、AKB48の成功要因を考えてみよう。以下のように、さまざまな点が挙げられている。
・総選挙によるメンバーの新陳代謝
・“会える”アイドルとしての共感型消費の促進
・ CDというわかりやすい物質メディアの売買を土台とした収益構造の成功
それぞれ一理あるが、決して個々の「AKB48メンバー」のバリューではない。メンバーがいなければもちろんAKB48は成り立たないが、にも関わらず、メンバーは小さな要素に過ぎない。成功を支えているのは、先に述べたような土台(仕組み)にある。だから仕組みを創ったプロデューサーの秋元康氏に注目が集まる。
日本生命の出口治明氏とハーバードビジネススクール帰りの岩瀬大輔氏が立ち上げたベンチャー企業、ライフネット生命は、インターネット販売によって営業コストを極限まで引き下げて顧客の保険料に還元するモデルを創った。一旦、保険の“しくみ”を創ってしまえば、後はやることは少ない。
二人がその後やるべきは、“露出”である。講演と執筆によっていかに効率的にライフネットを知ってもらうかが、主な業務となる。保険という収益土台を創ってから、その土台の上でいかに“目立つか?”が鍵になっているわけだ。単なる執筆業や講演業と比べると、保険事業というのは圧倒的に強い土台である。