この週末に日本ファイナンス学会の大会があり、初めて参加してきた。大会で取り上げられたテーマ一覧は

初日:http://www.nfa-net.jp/timetable_nfa_no17_1.html
2日目:http://www.nfa-net.jp/timetable_nfa_no17_2.html

である。

 多岐にわたるテーマで、聞きたい発表を全部聞けなかったことが心残りではあるが、多くの研究者の興味や分析内容を一度に吸収できるというのは非常に贅沢な機会であった。

日本に当てはまらない
ファイナンス理論はいらない?

 個別の発表内容の詳細をここで触れることはできないが、聞くことができた発表を通じて感じたことの一つは、コーポレートファイナンス戦略、M&A戦略、そしてコーポレートガバナンス論はまさに過渡期にあるということである。多くの研究者が、これからの時代に求められる戦略、理論、そして、アメリカではなく日本ではどうなのかという視点で研究に取り組んでいたのが印象的であった。もっとも、研究者は常にそういう立場で研究に取り組むので、去年までも同様の視点はあったはずであるが、今年はおそらくよりその観点が強くなったのではないだろうか。

 ある発表会のコメンテーターであった教授が言っていたことを私なりに解釈すると、学術研究はどうしても事例が豊富なアメリカが先行する傾向にあり、まずはそれを受け入れようとしてきたのが最近までの日本の金融市場であった。しかし、アメリカのものが日本では当てはまらないケースも少なくなく、日本においては実際のところどうなのかの研究がより求められているということになる。

外資系金融機関の優位性が崩れる?

 そんな状況に対して、先日の日経新聞の記事では日本企業に対してのM&Aのアドバイザリーランキングにおいて、外資系証券会社ではなく日本の証券会社が優位に立ってきているとの報告があった。外資系金融機関での人員削減が活発に行われているため、その影響による一時的なものかもしれないが、今までの海外での先行している(と思われていた)理論や実証分析をもとにした外資系証券会社の営業力が落ちることは間違いない。