窮地に立ったら「机を180度回転」させて考える
机を180度回転させて考える――。
八方塞がりの窮地に立たされたときに、私がいつも意識していることです。
窮地に立たされたときに、それまでの延長線上でモノを考えていても解決策は見出せません。だから、机を180度回転させる。モノの見方をガラッと変えてみるのです。そうすれば、必ず解決の糸口は見出せる。そう信じているのです。
それまで、私はなんとか事業継続をすべく知恵を絞っていました。しかし、目的が180度変わりました。いかに事業撤退するかがテーマです。そして、ネックとなっているのはペナン州政府が持っている30%の株式。この問題をどうクリアすればいいか?
私はペナン州政府の要求について、再度熟考しました。彼らの最大の目的は産業政策の貫徹。であれば、事業を第三者に譲り渡すことで、事業そのものは継続できるわけです。だから、私が譲渡先を見つけてくれば問題を解決できる可能性がある。
そして、もうひとつの問題は、ペナン州政府が株式投資の失敗という汚点をつくってはならないということ。すでにマレーシアン・サーキットは債務超過でしたから、株式は紙くず同然。このまま合弁解消をすればペナン州政府の投資額はそのまま損失となってしまいます。これを、州政府は恐れているはず……。