一方で株価が、企業業績などと関係なく下支えされているために、企業の財務や経営のガバナンスも働かない。財政も、日銀による実質的な「財政ファイナンス」の下で国債が増発され、財政赤字拡大に歯止めが利かない状況だ。「マイナス金利」によって金融機関は利ザヤが取れず、収益が悪化するという弊害まで生じている。

 まさに、「金融と財政が、もたれあいながらセットで“破綻”に近づいている状況」(日銀OB)といえるのだ。(図3参照)

黒田日銀総裁は失敗と分かりつつ
やり続けるしかないと達観している様子

 財務省にとっても、「異次元緩和」は財政再建を遠のかせるという“負”の側面が意識されるようになってきた。

 これまでは、国債の消化が楽にできる上に、金利が低く抑えられることで、国債の発行コストや毎年度の利払い費が少なくて済むという“うまみ”があった。

 だが、財務省のある幹部は「異次元緩和がこのまま続けば、財政再建は遠のくばかり。政治もまじめに財政健全化に取り組もうとしない」と話す。安倍政権では、消費税増税を2回も先送りしているが、2019年10月にも予定されている税率10%への引き上げも、また先延ばししかねない雲囲気だ。

 財務省の危機感を象徴する出来事が、今年の正月にもあった。事務次官や財務官経験者らのOBが都内のホテルに一堂に介した「かるた会」でのことだ。

 黒田総裁を何人かの財務省OBが囲んだ。

「君がやっていることは半分、正しい。『デフレ脱却には財政健全化のような構造改革も必要だ』と言っているのは正しい。だけど現実は国債をどんどん買い取って財政を不健全にしているのだよ」

「首相と一緒になってこんなことを続けるのは、君のマイナスになる。総裁は早くやめたほうがいい」