ただ問題は、会社から貸与されているパソコンは自分のものではなく会社のものだということです。会社が管理しているものですから、ハードディスクの中身を見たり削除したりすることもできます。

 そこで、メモしたら毎日印刷しておくか、もしくは自宅にパソコンがあるなら、会社から自宅のパソコンにメールでファイルを転送しておけばいいでしょう。メールには、送受信の時刻が記録されるので、その意味でもかなり有効です。

 そのほか、次のようなものを集め、しっかり整理して保管しておくといいでしょう。

  ・鉄道ICカードの通過履歴
  ・会社近くのコンビニのレシート
  ・社内のホワイトボードなどに書いた帰社予定時刻の写真
  ・翌朝見てもらうために取引先などに帰り間際に送ったメール
  ・同僚に「今日は○時まで残業しました。帰宅します」などとメールを送った記録
  ・携帯から家族に「帰るメール」を送信した履歴
  ・タクシーを利用した場合は領収書(乗車時刻をメモしておく)

 間接的にでも遅くまで残業したことの証明になりそうなものは、すべて保管しておきましょう。これらは未払い残業代を取り戻すための第一歩です。証拠集めの準備さえしっかりしておけば、労働審判でも有利に事を運ぶことができます。

 この連載は今回が最終回なので、労働審判の申立に必要なその他の資料(証拠)や申立書の作成方法などについて解説できませんでしたが、詳しくは『未払い残業代を取り返す方法』にまとめましたので、そちらをご覧いただければ幸いです。
 


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未払い残業代を回収するた めの本。著者の松本健一氏は、これまで1000件以上の未払い残業代問題の相談に乗り、労働審判の本人申立支援では第一人者的存在。労働審判とはどんな制度か、どのような証拠を用意し、具体的にどうやって交渉していけば不払い給料を勝ち取ることができるのかについて、ステップを踏みながらわかりやすく解説する。

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