なぜ“偽物のリーダー”が生まれるのか?

 いわば、彼らは“偽物のリーダー”なのです。
 なぜ、そうなるのか? 

 簡単なことです。彼らが逃げているからです。
 社長とは、会社の業績の最終責任を負う立場。業績が悪化しているのならば、その責任はすべて社長にあるのです。つまり、本来、社長には「逃げ道」がないということ。にもかかわらず、部下のせいにしたり、環境のせいにしたりすることで、自らの責任から逃げようとしている。その時点でリーダー失格。そのような「心の持ち方」をしている限り、どんなに威圧的な態度を取ったとしても、どんなに権威を振りかざそうとしても、1ミリたりともリーダーシップを発揮することはできないのです。

 だから、「誰か」を指導するなどと不遜な考えを持つ前に、「自分の課題から逃げない」という「心の持ち方」を徹底することが重要。目の前に困難が立ちはだかったときに、誰かのせいにしたり、環境のせいにするのではなく、自分の力でなんとかしようとする意思をもつ。この「心の持ち方」こそが、リーダーシップの根っこなのです。

 そして、目の前の困難を乗り越えるために、知恵を絞り、率先して行動する姿に、周囲の人々が共感を寄せて、「力になってやろう」「協力しよう」と思ってもらえたときに、はじめてリーダーシップは生まれる。少々不器用であっても、小心者であっても、その人なりの「持ち味」を活かしながら、必ずリーダーシップを発揮できるようになるのです。