アップルの成功のインフラになった「アップルファンのネットワーク」
パソコン通信が衰退し、インターネットになるとこのユーザーコミュニティは世界レベルでつながるようになりました。
ウィンドウズの勢力に押されるに従い、数少ないソフトウェア会社の開発陣とユーザーの距離は近づき、マッキントッシュ・ユーザーどうしの連帯は、ユーザー、アップル、サードパーティの距離をより縮めることになりました。
また、アップルの戦略の混乱、ジョブズの追放と復活といった劇的な動きによって、企業戦略に対するユーザー間の予想、評価、批判といったものもネットワークを通じて広範に広がり、アップル冬の時代を生き抜くユーザーたちの「信仰心」と「連帯感」を強化することになりました。
そしてこのネットワークこそが、ジョブズが復帰し、iMac、iPod、iTunes、iPhone、iPadという立て続けのヒットを生んでいくインフラになっていきました。
アップルがどんな商品を出すかという噂や憶測が、発売日の半年以上前からネット上で噂になり続けていました。また、既存のユーザーたちは自分のブログを通じてアップル商品を激賞し、それは新たに入ってくるユーザーの参考になりました。また、こうしたユーザーたちが新規のユーザーたちをコミュニティに誘い、サポートし続けました。
今、企業コミュニティで見られる、ファンの行動のかなりの部分はアップルのユーザーの活動に原点を見つけることができるのです。