企業コミュニティ作りはアップルに倣え
では、ウィンドウズのユーザーたちはこれと同じようなこと、つまりブログでサービスを激賞したり、知り合いにウィンドウズを使うことを勧めたり、喜んでサポートしたりといったことを、果たしてするでしょうか?もちろんないわけではありませんが、ユーザーどうしが抱く連帯感や結束感という意味で、アップルはウィンドウズをはるかに勝っています。
この違いから見ても、アップルが価値観を共有するあたたかい人と人とのつながりを創りだすハブになっていて、企業コミュニティと同じ活動をしているのだと考えなければマッキントッシュ・ユーザーどうしがこれほど連帯してきた説明がつきません。
逆に言えば、企業コミュニティが目指すべき究極の姿は、あたかもアップルのように、企業が価値観を提案し、その価値観に基づきユーザーがネットワーク化され、ブランドがそのハブとなるコミュニティが自然にできあがる状態になることです。
実際、企業コミュニティにおいてはそうしたブランドのファンの行動を見出すことは極めて容易です。
ですから、私は、アップルないしスティーブ・ジョブズこそが、ソーシャルメディアの理想型を考えるうえで大きな示唆を与えてくれる存在だと感じるのです。
長年のアップルファンとして、また、ジョブズから多くを学んだものとして、今回のジョブズの死の衝撃は計り知れないものでした。あまりにもアップルについて書きすぎて、担当編集者から「ソーシャルメディアの連載じゃなくなっている」と叱られたほどです。
しかし、私はいろいろ考えた末、ソーシャルメディアを使った企業マーケティングの未来像を作っていくことで、ジョブズへの感謝の気持ちを示そう、それこそが自分にできることだと決意を固めて本稿をまとめることで、ジョブズへの哀悼の意を表したいと思います。
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序 章 冒険に旅立つ前に
第1章 見える人と見えない人
第2章 インターネット・クラシックへの旅
第3章 ソーシャルメディアの地図
第4章 企業コミュニティへの招待
第5章 つながることが価値になる・前編
第6章 つながることが価値になる・後編
終 章 希望ある世界