これは「新しい現実」である。少子高齢化によって、日本全体で徐々に労働力が減り始めている。大企業であればシステム化やロボット化によって、働き手の減少に対処することもできなくはない。とはいえ、大企業の現場ではまだ「働き方改革」も始まったばかりで、むしろ働き手の数を増やすことで、社員の過重労働を減らしているというのが現状だ。

 そうなると、零細企業にそのしわ寄せが来るのは当然で、人は採れない、かといってシステム化やロボット化など現実的ではないという状況の中で、オペレーションが破綻することになる。

産業のチェーンが崩壊?
「新型不況」の不気味な足音

 ここ20年来、倒産に至る企業は主として金融が原因で行き詰まっていた。正確には、まず本業の稼ぐ力が落ちることから企業が傾いていき、そのプロセスで資金繰りが立ち行かなくなって企業は倒産していた。

 そのため国策として、日銀の異次元緩和で市中に資金が出回るようにしたり(こちらは実際にはあまり効果がなかったと言われているが)、中小企業金融円滑化法を制定したり(こちらの効果はあったようだ)して、企業倒産を回避してきた。

 ところが、カネは政策で増やすことはできるが、ヒトは移民政策でも採らない限り簡単に増やすことはできない。つまり、「人不足の倒産」が新しい現実として企業の前に立ちはだかるようになる。そうなると、零細企業が担ってきた産業のチェーンが途切れてしまい、大企業を含めた経済活動が停滞してしまう可能性もある。

 東京商工リサーチによれば「倒産件数は今後、徐々に増えていく可能性がある」という。そしてその次に来ることとして、「人手不足による不景気」がやってくるという新しいリスクが、目前に控えているのかもしれない。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)