仕事を生きがいにしない人がいてもいい
以前勤めていた大学の同僚の先生が、なかなか就職が決まらない学生にこんな助言をしていたのが印象的でした。
「やりたい仕事が見つからないなら、5時で終わる仕事を探しなさい。それから寝るまでの間は好きなだけ趣味に没頭できる。むしろそっちが生きている時間なんだから、最低限のお金を稼ぐだけの仕事を探すことも考えてみなさい」
当時は、すでに「自分らしく働こう」などと言われていた時代です。学生たちは「そんな仕事なんかないよ」と落ち込んでいましたから、先生の言葉に救われたようです。
もっと言えば、好きなことも特にない、かといって仕事も好きではない、そんなにガツガツ働きたくないという人もいると思います。
そんな人が、無理やり好きな仕事を見つける必要があるのでしょうか。
仕事は、一義的には食べていくための手段です。飢えずに生きるために働くという考え方を否定できるものではありません。
人生で最大の目的は趣味を極めること。仕事はそのために必要なお金を稼ぐための手段にすぎないという考えも、私は否定しません。
仕事が好きでもなく、仕事を生きがいにもできないけれど、それでも仕事をしている人は大勢いると思います。それらの人を「生きがいをみつけていない」とみなす風潮があれば、そちらの方が人の自由を奪ってしまう発想に思えてなりません。