決して見逃すことができない
「Disclaimer」という項目の内容

 さて、オリンパスの算定書は、同社がプレスリリースで主張するように、「第三者機関である外部会計事務所による評価を得て」おり、「買収手続きは適正である」ことの証拠資料となるのであろうか。そこで、この算定書を詳細に見ると、「Disclaimer」と題したページに以下のような記述があることに気づく。

「(本算定書は)貴社より受領した評価対象会社の中期事業計画書及び一般に認知された公的情報源より入手可能な情報のみを使用し、独自に検証・確認することなく且つこれらにのみ依拠しており(中略)、それらの情報の信頼性に対する責任を持たず、また保証も致しません。」「評価対象会社が作成した(中略)予測(中略)並びにかかる予測の前提条件が合理的に作成されていることを前提とし、(以下略)」

 つまり、算定書を作成した会計事務所の主張としては、この算定書における株式価値は、主にオリンパスから提供された中期事業計画に基づき、算定人である会計事務所が(機械的に)計算式に当てはめて算定したものであり、業績予測が妥当かどうか、信憑性があるかどうかについては一切責任を負わないとされているのである。

 この主張に沿って考えると、第三者機関である外部会計事務所による評価は、オリンパス側が期待するように買収価格が妥当であったことの証左にはならず、むしろオリンパス側が会計事務所に提供した買収対象企業の中期事業計画の妥当性を十分検証したかどうかが、問題の本質だということになる。(実際、この算定書がネット上で公開された後の10月27日付のプレスリリースにおいて、「当社において独自に(中略)、その事業計画の適切性を評価し(た)」と述べている。)