厚生、共済、国民各年金制度からの基礎年金拠出金によって財源が賄われる基礎年金の構造に、現在、わが国の年金制度が抱える諸問題の根源がある。ここにメスを入れることなく、年金問題を論じることは出来ない。今回は、基礎年金の舞台裏を探り、それを踏まえて、年金制度の諸問題を考えたい。

基礎年金の舞台裏

 最初に第1回で述べたポイントをおさらいしておこう。ポイントは次の3つである。

1.わが国の年金制度は、厚生、国共済、地共済、私学共済(共済と総称)、および、国民各年金制度の分立を基本としており、2階建てとなっていない。

2.基礎年金は、制度というより、勘定であり、給付される際の名称である。

3.基礎年金の財源は独自にあるわけではなく、厚生、共済、国民各年金制度から、年金特別会計の基礎年金勘定に拠出される基礎年金拠出金で、賄われている。

 こうした公的年金のキャッシュフローを改めて示せば、図表1の通りとなる。例えば、民間被用者が支払うのは厚生年金保険料だけだが、それは、厚生年金給付と基礎年金拠出金に振り分けられる。