今月から野田政権の進める社会保障・税一体改革の舞台が、衆議院の特別委員会へと移っている。審議を通じ、これまで見えにくかった野党のスタンスなども明らかになりつつある。最終回となる今回は、これまでの計15回の議論を踏まえつつ、現在の議論を整理・検証することとした。加えて、今後もう一段の改革が必至ななか、真に政治主導の議論を進めるために何が必要となるかを考察した。

野田首相の意気込みばかりが際立つ
社会保障・税特別委員会

 2012年5月18日、衆議院において社会保障と税の一体改革に関する特別委員会がようやく始まり、連日開催されている。野田佳彦首相の消費税率5%引き上げにかける意気込みが際立つものの、首相を含め政府が同様の意気込みを社会保障にも注いでいるようには見えない。現時点において、特別委員会に付託されているのは7法案であり、その特徴は次の2点に集約される(図表1参照)。

1.消費税率の5%引き上げ。
2.社会保障に関しては総じてみれば現行制度の修正。その内容は、増税色を和らげる中和剤の色彩が濃い(第7回参照)。