生きたかった人の代わりに、
死にたかった自分にできること

 そんなとき起きたのが、震災だった。

 電気が復旧した後、テレビのニュース画面に映っていたのは、津波で家が流される映像だった。

「画面に映っている人たちは生きたかったはずなのに。死にたい、死にたいと思っていた私が、どうして生きているんだろうって、すごく考えさせられたんです」

 翌2012年は、うのさんの干支である辰年だった。

「自分の干支なのも何かいいかなって。始めるなら、ここからだ」

 そう思ったうのさんは、古美術商でのネットオークションなどのバイトや、小学校で読み聞かせのボランティアなどをしてきた。

「ひきこもり新聞」には、2016年8月の立ち上げのときから関わった。「こもりん。」は、4コマストーリーとして連載。次の号にも第7話が掲載される予定だ。

「私も、昨年の『たけしのTVタックル』の暴力的支援の映像に、良かれ悪しかれ影響を受けた。引きこもりが悪だとかキモいとかいうイメージを払拭したくて、見るだけでカワイイみたいな感じで見守っていただければ、という願いを画に込めたんです」

 もともと新聞用に試行錯誤してつくり出した「こもりん。」には、自身の経験に加え、多くの当事者たちの心情が投影されている。うのさんは今後、「こもりん。」について、どこのメディアからでも個人でも依頼があれば、描いていきたいという。

「私はもともと、医療従事者を目指していましたが、これからは自分にしかできないやり方で、みなさんの生きやすさにつながる仕事ができれば、嬉しいです」