みんなで共有するから発見がある
「全員CCメール」と「合議制」

篠田:ほぼ日では、働き方は自由だけど、全員の自己裁量に加えてお互いの仕事が「透明化」することを意識するようになっています。

:透明化?

篠田:私は財務担当として3年前に入社しましたが、当初驚いたのは、全員のメールが全員にCC(同報)で入るということ。「取材に出かけます」といった業務連絡だけでなく、「髪を切りに出かけます!」「すみません!寝坊しました、遅れます!」という私的なメールが普通に飛び交っていました。それまで大企業の一員だった私には驚きでした。編集チームなら原稿は全員宛の共有アドレスにまず流す。いわゆる電話連絡メモも全員にCCします。

:電話連絡も!?

篠田:誰が誰とどういう仕事をしているか互いに分かって、いいですよ。議事録も全員にCC。

奥野:1日に100通以上はメールが流れるんじゃないでしょうか。読者からのメールも全員が受けて読んでいます。今はツイッターの「ほぼ日」公式アカウントもあるからそれも見ていますね。ひと仕事にはなりますが、読者の反応がよりダイレクトなので、よく見ています。

:そんなに多いと見なくなったりしないんですか?

「ほぼ日」を運営する東京糸井重里事務所

篠田:メールの内容をあとで皆で話題にしたりしますからね。たまたま自分が見ていなくても、必要な情報は後から皆が話題にするから、それを聞いて改めてメールを見直したりして。

奥野:原稿なら、読んだ人が誤字脱字の指摘から内容についてまでいろんな指摘をしてくれます。編集チームはもちろんのこと、経理担当者や、財務担当の篠田のような、仕事内容としては直接かかわりがない人からも、指摘をもらえるので、すごく参考になります。

:東京R不動産はメーリングリストが3つあるくらいだなぁ……。

吉里:僕らでいうと、近いのは「合議制」でしょうか。合議制は時間もかかるし面倒な面はあります。だからこそ、それぞれがスピンオフした会社を作って、サテライトみたいに増やしていくことを推奨してもいますが、それも別な場所ではなく、東京R不動産の中でやっている状態。透明化ではないけれど、何をしているのかが見える状態ではありますね。