どんなにスピーチ慣れした人でも、本番前は緊張するもの。しかし、スピーチ原稿をしっかり準備し、入念なリハーサルを行い、壇上での心構えを頭に入れておけば安心だ。連載最終回では、最後の仕上げについて紹介する。

ステップ6:原稿づくりの4つのステップとリハーサル

 スピーチ原稿の作成は、「基本構想」→「アウトライン」→「フルテキスト」→「言葉磨き」という4つのステップで行います。話すことをいったんすべて言葉にして書き出し、実際に声に出して読んでみます。そのうえで、話しやすいように言葉や間合いを調整し、当日持参する原稿を作っていきます。

 最後に、できあがった原稿を用いて、実際のスピーチを想定して話す練習をします。ポイントは、聴衆にしっかりと思いが伝わるように、原稿を参照しながらも、棒読みにならないように気をつけることです。ポイントは、「息継ぎ」「ポーズ(間合い)」「視線」の3つです。

 このように、徹底した準備をしておけば、話す内容がしっかり頭に入るので、当日は原稿に頼り切ることなく、聴衆に目を向けたり、その場にふさわしい話題を即興で盛り込んだりする余裕ができるのです。

ステップ7:壇上での振る舞いかた

 スピーチをする前に、静かなところで心を鎮めることが大切です。まず、聴衆の置かれた状況を思い浮かべてください。いま直面していることは何か、どんなことに挑戦しようとしているのか、聴衆の立場に立って気持ちを想像しましょう。

 すると、何らかの方向性を示す場なのか、実際に役に立つ道具を教える場なのか、モチベーションをかきたてる場なのか、おのずと話すスタンスが見えてきます。話す内容と気持ちが合致していれば、その一貫性ある姿勢は聴衆にも自然に伝わります。

 感動の本質は、身振り手振りなどのパフォーマンスにあるのではなく、話の中身にあるのです。聴衆のために心を込めてスピーチ原稿をしたため、愛情を込めて話せば、必ずやあなたの思いは伝わり、聴衆の心は動くはずです。