新入社員の「100点」は、
上司から見れば70点
(撮影/佐久間ナオヒト)
岩瀬さん それでは、集めたデータそのものが間違っていて、最初からやり直し!となってしまう可能性もありますよね。
Bさん たしかに…。そうなると、イチからやり直しですね。これまでの労力がすべてムダになってしまいます。
岩瀬さん それでは非効率でしょう。だから、50点で提出する必要があるのです。「これとこれとこれのデータがありましたが、不足はありませんか?」と箇条書きでもサイトのプリントアウトでもいいから「必要な素材」を集めて、上司にいったん確認してもらいます。
Bさん なるほど、最初の「確認ポイント」で提出することが、「50点で構わないから早く出せ」という意味だったのですね。
岩瀬さん 方向性は間違っていないか、素材に過不足はないか。こうした判断を相手ができる段階が50点です。その後でレポートとしてまとめ、もう一度チェックしてもらいましょう。
Bさん そうすれば100点でゴール!となるのですね。
岩瀬さん あわててはいけません。新入社員にとっての「100点」の出来は、上司から見れば70点くらいということもあります。50点の次は100点となるとは限らないのです。
だからといってダメじゃないですよ。このように何度かやりとりをして、最終的に100点の完成度にしていけばいいのです。
Bさん 何度も何度もチェックしていただくのは、忙しい上司の方に失礼にあたるのではないかと、少々気が引けてしまうのですが…。
岩瀬さん たしかに、「しつこいと思われたらイヤだな」と思う気持ちもわかりますが、気にすることはありません。部下育成のために、あなたに的確なアドバイスをするのが「上司の仕事」なのですから。
Bさん そうですね、上司はそのためにいるんですよね。
岩瀬さん わからないことを堂々と聞けるのが新入社員の特権です。私はこれまで、質問に来すぎだと思う部下に出会ったことは一度もありません。みんな気をつかい過ぎているのでしょう。むしろ、しつこいくらいでちょうどいいと思います。
Bさん はい。これからは堂々と50点で提出していこうと思います。
※『入社1年目の教科書』の仕事の原則2「50点で構わないから早く出せ」の真意が理解できました。次回は、原則3「つまらない仕事はない」について、新入社員が疑問に思っていることを岩瀬さんに質問します。お楽しみに。
(2018年3月9日更新予定)