新入社員の「100点」は、
上司から見れば70点

岩瀬大輔氏岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長。1976年埼玉県生まれ。東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)など多数。
(撮影/佐久間ナオヒト)

岩瀬さん それでは、集めたデータそのものが間違っていて、最初からやり直し!となってしまう可能性もありますよね。

Bさん たしかに…。そうなると、イチからやり直しですね。これまでの労力がすべてムダになってしまいます。

岩瀬さん それでは非効率でしょう。だから、50点で提出する必要があるのです。「これとこれとこれのデータがありましたが、不足はありませんか?」と箇条書きでもサイトのプリントアウトでもいいから「必要な素材」を集めて、上司にいったん確認してもらいます。

Bさん なるほど、最初の「確認ポイント」で提出することが、「50点で構わないから早く出せ」という意味だったのですね。

岩瀬さん 方向性は間違っていないか、素材に過不足はないか。こうした判断を相手ができる段階が50点です。その後でレポートとしてまとめ、もう一度チェックしてもらいましょう。

Bさん そうすれば100点でゴール!となるのですね。

岩瀬さん あわててはいけません。新入社員にとっての「100点」の出来は、上司から見れば70点くらいということもあります。50点の次は100点となるとは限らないのです。
だからといってダメじゃないですよ。このように何度かやりとりをして、最終的に100点の完成度にしていけばいいのです。

Bさん 何度も何度もチェックしていただくのは、忙しい上司の方に失礼にあたるのではないかと、少々気が引けてしまうのですが…。

岩瀬さん たしかに、「しつこいと思われたらイヤだな」と思う気持ちもわかりますが、気にすることはありません。部下育成のために、あなたに的確なアドバイスをするのが「上司の仕事」なのですから。

Bさん そうですね、上司はそのためにいるんですよね。

岩瀬さん わからないことを堂々と聞けるのが新入社員の特権です。私はこれまで、質問に来すぎだと思う部下に出会ったことは一度もありません。みんな気をつかい過ぎているのでしょう。むしろ、しつこいくらいでちょうどいいと思います。

Bさん はい。これからは堂々と50点で提出していこうと思います。

「50点で構わないから早く出せ」と言われたら、どのレベルで提出すればいいか?新入社員にこれだけは守ってほしい!3つの原則。原則2「50点で構わないから早く出せ」

『入社1年目の教科書』の仕事の原則2「50点で構わないから早く出せ」の真意が理解できました。次回は、原則3「つまらない仕事はない」について、新入社員が疑問に思っていることを岩瀬さんに質問します。お楽しみに。
(2018年3月9日更新予定)