大赤字でボーナスカットから一転、特別ボーナス支給の大盤振る舞いを決めた日本郵便
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 通期で403億円と見込んだ営業赤字(事業計画ベース)が294億円に収まりそうなので、特別報奨金79億円を支給します──。

 負債が1兆5758億円もあり、資本金2000億円が529億円の欠損状態。債務超過も視野にある危機的状況の企業としては信じがたい大盤振る舞いである。

 この「特別報奨金」の3月1日支給を決定したのが日本郵政グループの郵便事業会社、日本郵便だ。

 同社は前期に、1000億円を超える損失を出した日本通運との共同設立会社JPEXを実質救済合併したことにより、1034億円もの営業赤字と なった。そこで昨年5月、2012年度の営業黒字化と債務超過転落回避のため、ボーナスを1.3ヵ月(平均50万円)カットし、夏・冬それぞれ1.5ヵ月 にしたばかり。それを今度は、冬に支給されたボーナスの2割相当を特別ボーナスとして支給するという。これは日本郵便に足並みを揃えてボーナスカットした 日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険、郵便局(窓口)会社も同様だ。

 日本郵便は、郵政幹部が明かした冒頭の決算数字の確認を含め、いっさいの取材を拒否しているが、特別ボーナス支給は全社員に通知ずみだ。

 同社はこれまで先のボーナスカット以外にも、非正規雇用者雇い止めなど、さまざまな経費節減策を打ち出してきた。

 ただし、これらは対症療法にすぎず、JPEXの出血が止まったわけではない。今期も営業黒字化が達成できない以上、昨年並みのボーナスカットは確実で、定期昇給の停止や賃金カットが行われる可能性もある。それゆえ社員からは、「4月以降のリストラに向けた懐柔策だ」「アメとムチのアメが先に来ただけ。特別ボーナスなんか出して会社は大丈夫なのか」との声が漏れる。

 特別ボーナス支給はまさしく「朝三暮四」であり、大喜びしたサルの故事とは違い、社員は不安と警戒を隠さない。不安を駆り立てるようなボーナス支給によって、はたして社員の士気は上がるのだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

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