節分の福豆が
出逢いを引き寄せてくれた?

 実は、『沸騰ワード10』放映当日、私はこの日、久しぶりに有休を取っていた。
 この日の午後2時40分。
 どこに行っていたのか?
 近くの神社である。

 そこで何をしていたのか?
 家族みんなで節分の豆まきに参加していた。

 数十年生きてきたが、有休を取ってまで、豆まきに参加したことはない。
 人生初の出来事だ。

「鬼は外、福は内!」
 ついに、豆まきが始まった。
 豆まき、といっても、頭上から降ってくる9割はお菓子であった。
 しかし、残り1割に、福を呼ぶ、落花生が10個くらい入った “福豆”があるという。
 私は“福豆”のみに照準を定めた。

 神社の境内は、金曜午後とは到底思えない。身動きがとれないほど、人でごった返していた。
 ベビーカーに乗ったかわいい赤ちゃんから、小学生、ビジネスマン、主婦、近所のお祭り好きなお年寄りの人たちまで!

「こっち、こっち!」と、壇上から豆を投げるおじさんに大声を上げるも、なかなか届かず、まったく豆が取れない。
 隣にいた、さっきまで柔和な笑顔のおばさま方が、豆まきになると豹変する。
 私のほうに肘打ちをしてくる人、平気で足を踏みつけてくる人、豆のためならエイヤコ~ラ♪とばかりに、一様に暴力的になる。

 私も最初はそんな人たちに負けじと、前へ前へと豆を取りに行った。
 しかし、欲しがれば欲しがるほど豆は遠のく。
 もうダメか……。
 タイムアップ寸前のその時だった。
 肩の力をふ~と抜いた途端、私の手元に“福豆”が降ってきた。
 握った、取ったというより、スポッと、キャッチャーミットにおさまった、という感じだ。とっても不思議な感覚だった。

 そして、その夜、志麻さんがテレビ画面に現れた。
 人生に偶然はない、と信じているが、まさに事実は小説より奇なり。
 節分のあの夜でなければ、志麻さんと出逢うことはなかった。
 節分を境に潮目が変わった。
 いつもは家にいないあの時間、あの番組を見ていなければ今の現実はない。
 そう思うと、人生は誰と出逢うか、出逢いがすべてだ。
 あの瞬間、出逢いの神様が舞い降りてきたのだ(心から感謝!)。