『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)の著者秋元祥治さんは、大学で授業を担当するとき、必ず「将来、自分で起業や独立したい人っていますか?」という問いを投げかけるとのこと。その時に、手が挙がるのはだいたい1割から2割。そこで、秋元さんが、いつも学生に伝えていること、があるそうです。本連載では、『20代に伝えたい50のこと』から抜粋しながら、メッセージをお伝えしていきます。

あなたはあなたの経営者。だからあなたが決めたらいい

手を挙げなかった残りの9割近い皆さん、あなたも経営者なのですよ

 ここ数年大学で授業を担当させてもらっている中で、文系・理系関係なく経営ということをテーマに取り上げます。できるだけ、多くの実際の経営者に登壇してもらうようにもしています。そんな中、各授業科目で必ず聞く質問があります。学生に「将来、自分で起業や独立したい人っていますか?」という問いを投げかけるのです。

 ですが、自分で会社を起こしたい、とか、自身でお店を持ちたいとかって思う人はそんなに多くないようです。だいたい1割から、2割くらいでしょうか。50人の教室で、6、7人が恥ずかしそうに手を挙げてくれます。もちろん、中には意気揚々と、挙手してくれるヒトもいますが。

 そこで、僕はいつもこう伝えるのです。「手を挙げなかった残りの9割近い皆さん、あなたも経営者なのですよ。しかも、もうすでに経営者なのです」。そう伝えると、ほとんどの学生 はポカーンとするのです。

 あなたは、あなたの人生の所有者(オーナー)でしょ。そして、あなたはあなた自身の経営者なんだ、とお伝えします。誰のものでもなく、自分自身の人生ですからね、もちろん。

 だからこそ、経営について学ぶことは、誰にとっても大事なんだって

 経営とは、辞書によれば「事業目的を達成するために、継続的・計画的に意思決定を行って実行に移し、事業を管理・遂行すること」と書かれています。この事業という言葉を「自身の人生」と置き換えてみれば、ピタッとくるのではないでしょうか。

 企業経営は、有限な経営資源(スタッフ、資金、知財、設備……)を活かしながら事業目的を達成するために、優先順位をつけ、資源配分を最適にしていくことと言い換えることもできます。

 人生もまた、夢や思いを達成するために時間やお金といった限りのある資源をうまく活かしながら、計画をつくり実際に決めて行動していくこと。継続を通じて、そして夢や思いの実現をしていくこと。

 こうとらえてみると、確かに僕は「秋元祥治」という人生(いわば会社)の経営者だということになります。だからこそ、自身で起業をしたり、独立してお店を持つことはなくても、企業経営ということについて知識を得たり、実際に経営者のお話を聞くことはとても意味のあることだと思います。そのエッセンスは、自分自身の人生のオーナーであり、人生を経営していく上で相通じることがとても多いのだから。