仮想通貨は
楽天ポイントと同じである

 さて、そんな経済学者の論争はさておき、話を牛乳瓶のフタに戻しましょう。
 経済学者ではない私たちには、金融論よりも「フタの逸話」のほうが有意義だと思いますので。

 佐藤氏のクラスでは、「信用」があった時期に限れば、牛乳瓶のフタは明白に「お金」として機能していました。
 この点に異論の余地はありません。
 消しゴムというモノや、掃除当番という労働力が購入できて、かつ、それを可能にしていたのは、フタに価値が内在していたからです(フタに価値があったからです)。

 ただし、たった一人の生徒が何百枚という大量のフタを保有してしまったことで、コミュニティがフタに対しての価値を見出さなくなり(フタが価値を保存できなくなり)、「どうせこんなもので掃除当番は代わってもらえないよな」と「フタでモノが買える」という「信用」が失われ、フタが「お金」ではなくなってしまったのです。

 こうした事象は、コミュニティの大きさが国家レベルになっても発生します。
1920年代のドイツの話ですが、超絶なハイパーインフレが発生してしまい、マルクの価値がおよそ400億分の1に下落してしまいました。

 要するに、それまで1マルクで買えたモノが400億マルク払わなければ買えなくなり、当時のドイツ国民は暖炉にくべる薪を買う代わりにマルク紙幣を燃やしていたというのは有名な話です。

 このように、「信用」を失えば、たとえ一万円札でももはや「お金」ではなくなり、お尻も拭けないトイレットペーパー以下の紙切れに成り下がります。

 いずれにしても、「日銀うんぬん」と言う人でも、楽天ポイントで買い物をしたりしています。
 当然ですが、楽天ポイントの発行元は日銀でも日本政府でもありません。

 しかし、楽天ポイントでモノが買えると「信用」している人にとっては、それはもはや「お金」です。