上司にはとことん騙されないとダメ

藤沢 基本的にね、上司は部下を利用するだけなんです。部下の手柄は自分の手柄だし。ある意味で、僕は上司に騙されて、搾取されているんだけど、上司が信頼して、さらに気を許してくれると、いろんな情報をついつい教えてくれるわけです。だから、やっぱり上司に騙されないとダメなんですよ。

岩瀬 最初は上司に腹が立ったりはしなかったんですか?

藤沢 入社1年目は、そうは言っても、上司との圧倒的な実力の差がありましたから、どんなに粗末に扱われても、必死で学んで、必死についていくしかないんです。

 逆に、同じ業界で5年目ぐらいになってくると、入社1年目のときよりも労働時間も短いし、給料も5倍ぐらいあったりするわけです。でも、学ぶことが少ないし、ほとんどのマネージャーより、自分のほうが知識が上になっちゃうから、尊敬できる上司にめぐり合うということは、非常にむずかしくなります。だから、どれだけ給料を貰っても、割に合わないと感じ、途端に満足度が低くなりますよね。

 不思議なことに、あれだけこき使われて、給料も一番安かったし、勤務時間も一番長かった最初の上司に対しては、今でもまったく悪い感情はないんです。むしろ、一番感謝しているぐらい。この前、久しぶりにランチをしたんですけど、不思議なことに、当時はとても辛かったのに、いい思い出ばっかりなんですよ。

岩瀬 ここまで話を聞いて、藤沢さんは上司活用力のある人だと思いました。