課長クラス以上のマネジャーにとって「会議術」は、チームの生産性を上げるために必須のスキルです。ところが、私たちには「会議術」を体系的に学ぶ機会がほとんどありませんから、悩んでいるマネジャーも多いのではないでしょうか? そこで、ソフトバンク在籍時に「会議術」を磨き上げ、マネジャーとして大きな実績を残した前田鎌利さんに『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)をまとめていただきました。本連載では、その内容を抜粋して掲載してまいります。
「議題」「議事録」は一つのフォーマットでOK
会議は意思決定のために行うものです。
つまり、「何かを決める」ために行うということ。だから、事前に「何を決めるのか?」を共有しておくとともに、事後に「何が決まったのか?」が明確になっていない会議は、必然的に、「この会議、意味あるの?」とメンバーをモヤモヤさせる品質の低いものとなります。
ところが、これを徹底していない会議を見かけます。メンバーは議題を知らないまま会議に参加し、会議室で初めて議題を知らされる。事前準備はゼロですから、それで議論の質を高めることは望めません。
さらに、「何が決まったのか?」も明確に示されなければ、会議の品質は致命的な欠陥を抱えます。なぜなら、マネジャーが“決まった”と思ったことが実行されないからです。実行の伴わない意思決定は無意味です。会議そのものの存在意義が問われる事態を招くのです。
だから、私は、定例会議において「何を決めるのか?」「何が決まったのか?」を明確にすることを徹底しました。方法はシンプル。1枚のフォーマットを活用するだけです(下図)。このフォーマットをメンバーと共有することで、事前に「何を決めるのか?」=「議題」を明示するとともに、事後に「何が決まったのか?」=「議事録」を明確にするのです。
まず、事前の対応からご説明しましょう。
ここで行う作業はふたつ。第一に、30分会議の後半15分「アウトプット(ディスカッション+意思決定)」のパートで扱う議題の整理です。連載第8回でお伝えしたとおり、議題は会議日の前々日までの提出を徹底します。その翌日(会議前日)にマネジャーが議題を精査。定例会議で取り上げる必要のないものや、「70点」に至っていない提案をふるいにかけたり、至急のブラッシュアップを要請することによって議題を確定。【下図】のように記入します。
このときに、頭のなかで会議の進行状況をシミュレートして、重要なものから順に記入することが大切です。会議でもその順番にディスカッションを進め、時間が足りなくなった場合には、重要性の低いものは少人数ミーティングを別途設けるか、次回定例会議に持ち越すことを決定するわけです(この点については、連載第8回に詳述)。