「方向性」を示せる人が
単なるグループをチームへと変える

 最後にもう1つ。先ほど「チームを育てるリーダーシップが必要」というお話をしましたが、人が集まるだけではチームはできないということを知っておきましょう。

 チームというのは、複数の人が集まってできたグループが、同じ目的を持ち方向性を共有することで生まれます。ですから、リーダーというのは「グループのメンバーを同じ方向に導いてチームをつくれる人」だと言うこともできます。

 「方向性」というのはチームづくりの重要なキーワードですが、これを1次方程式で書くと「方向性=理念+目標+戦略」となります。

  「理念」とは、ビジョン(どんな会社にしたいか)、ミッション(会社として世の中にどのように貢献するか)、バリュー(会社として何を大切にして仕事をするか)の3つから成り立つものです。

 そこに売上目標といった数字を加えると、「目標」が生まれます。その目標を達成するためのやり方が「戦略」、具体的に現場レベルに落とし込んだものが「戦術」ですね。

 戦術は現場が決めることですから、リーダーや経営者になるのであれば、理念と目標と戦略を構築し、発信することこそ重要です。方向性を語れない人は、単なる管理者やマネージャーにすぎません。

 方向性を語るときに必要なのは、やはり説得性と納得性です。特に納得性については、リーダーとしての「情熱」がものを言います。チームのメンバーを納得させるには、心を込めて自分の言葉で方向性を語れなくてはならないでしょう。能力の不足を情熱で補うことはできますが、情熱の不足を能力で補うことはできないものなんですよ。

 最後に、みなさんにこの言葉を贈ります。

今日の自分は、昨日までの自分の結果である。
将来の自分は、今日からの自分の結果である。

 この対談をいくらかでも参考にしていただいて、さっそく明日からより良い自分づくりを実行に移してください。

(文・千葉はるか)

【了】


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