特定不能の摂食障害による「むちゃ食い障害」は、過食で肥満しているタイプの人に多いらしい。体重や体型へのこだわりはそれほどないが、過食をコントロールできない自分に強い罪悪感を抱き、過食を理由に自分の価値を低く決めつけている。ただしBNと違い、自己嘔吐や下剤、利尿剤などによる排出行為は基本的にはしない。それ以外はほぼ過食症と同じだ。

 1998年に厚生労働省が全国2万3401ヵ所の医療施設を対象に行った調査では、患者推定数は神経性食欲不振症が1万2500人、神経性過食症が6500人だった。また性別では、男性よりも女性に多く、1対20の比率になっている。

 これらの知識をネットで得た愛由さんは、「自分はBNだわね」と自己診断している。メンタルクリニックを受診したことはない。なぜなら、それほど重症とは思えないからだ。

 抵抗があるのは夕食だけで、朝と昼は普通に食べられる。食欲のストッパーが壊れて夜中にお菓子をむちゃ食いし、全部吐き出さずにはいられなくなるのは週に数回だけ。

 吐いた後は、たまらない罪悪感にかられ、自己嫌悪のかたまりになるが、翌朝には立ち直る。体重は標準体重よりちょっと軽いぐらい。朝と夜、1日最低2回は体重計に乗り、痩せないまでも現状維持を死守するつもりでいる。

 ちょっと異常……という認識はもちろんある。だが、吐き癖がついている人に見られるという「吐きだこ(指を口に入れる行為を繰り返して、指の関節にできる角質が固くなったたこ)」はないし、激痩せもしていない。

 食料を無駄にしてはいるが、健康に問題はなく、誰にも迷惑をかけてもいないので、愛由さんは治療の必要性を感じずに生きてきたのである。