ある日、目にした「悲惨な現場」

 ところが、「言うは易く行うは難し」。

 朝には加工が終わっているはずが、翌朝出社すると、悲惨な現場を目にすることが何度もありました。

 初期のシステムは、間違ったプログラムを入力すると途中で停止できなかったので、機械に取りつけた刃物が折れていたり、材料を固定する治具などが壊れている。ひどいときには、機械そのものが破損していたのです。

 機械の修理にはびっくりするくらいの費用がかかりますし、機械が動かなければ納期に間に合いません。

 社員からは、

「いいかげん、こんなことはやめたらどうか」

 と非難の嵐が巻き起こりました。

 機械に任せず、自分の手で加工し始める社員もいました。

 それでも私はあきらめなかった。

 失敗による損害以上に、このシステムを導入することによるメリットに手応えを感じていたからです。

 前述した東京オフィス支社長の静本も私に反発していました。
 なぜ、反発していたか。
 その理由を本人に語ってもらいましょう。