「自動化が一向に進まず、納期がどんどん遅れていきました。
なのに副社長は、『かまへん。そんなんええから、こっちやろう』『そんなん待たせておけ。こっちが大事やねん』と言い出すわけです。
私は、『こんなことしてて、ええのん?』『こんなことやってたら、会社つぶれるぞ』と心配になり、『もう、今までのやり方に戻しましょう。そのほうが手っ取り早いし、製品もできてくるし売上も上がります』と副社長(当時は工場長)に提案したんです。
それなのに副社長の返事は、
『おまえに心配してもらわんでもええわ』。
正直、『何を!』と腹が立ちましたが、少しずつ自動化が成功するようになり、『やっぱりこの人についていこう』と思い直しました。
『ああ、たしかにこのシステムはラクだ』と実感できたからです。
当時は、『失敗ばかりして、ムダな時間をすごしている』『こんなことをやっていたら会社はつぶれる』と思っていましたが、結果的に『こんなことをやったから会社はつぶれなかった』のです。
自動化をあきらめ、従来のやり方に戻っていたら、今のヒルトップはなかったでしょう」(静本)
今回、年間2000人の見学者が訪れる、鉄工所なのに鉄工所らしくない「HILLTOP」の本社屋や工場、社内の雰囲気を初めて公開しました。ピンクの本社屋、オレンジのエレベータ、カフェテリア風の社員食堂など、ほんの少し覗いてみたい方は、ぜひ第1回連載記事をご覧いただければと思います。