最も「働きがい」のある会社は
意外にもあの2社だった
前述の通り、「働きがいのある企業ランキング」と「働きがいのある会社ランキング」を合わせて見ると、社員、会社に加え、過去の社員までをもフォローした「関係者による全方位のクチコミ傾向」を知ることができる。つまり、両調査のランキングに重複して顔を出している企業は、「働きがいのある究極の会社」と言えるかもしれない。その会社とは、果たしてどこだろうか。
知名度が高い大規模な企業で言えば、それはクラウドコンピューティング・サービスのセールスフォース・ドットコムや、米国最大級の金融サービス機関に属するプルデンシャル生命保険といった外資系企業だ。Vorkersのクチコミ内容を読み込んでみると、「実力主義で厳しいが、社内の風通しはよく、やった分の見返りは十分にある」といった会社像が浮かび上がってくる。外資系企業にはシビアで冷たいイメージを抱く人もいるかもしれないが、それらが今の若者の「仕事観」に合致しており、意外と働きやすい環境が整っているということなのだろうか。
もちろん、このイメージ通りの会社であったとすれば、全ての人にとっていい会社とは言えない。厳しさを好まない人、競争に耐えられない人にとっては、苦痛を感じる職場だろう。おそらく、そのような社風であることをあらかじめ理解して入社する社員が多いために、「厳しい」こと自体があまりマイナスポイントと捉えられていない側面もあるのではないか。
働き方改革で社員の離職率を大幅に改善させたサイボウズは別格だが、世間ではあまり知られていない中規模・小規模企業の中にも、働き手にとって良い会社は少なからず存在する。大企業に比べて公開情報が少ないぶん、両調査に顔を出した企業のクチコミ情報はより重要度が高いだろう。
「口コミなんて、企業にとって都合のいいように操作できるのでは?」という疑問を持つ人もいるかもしれない。しかし、1人や2人ならともかく、多くの社員の意見を何者かが操作することは困難だろう。昨今のネット社会では情報操作は発覚しやすく、公になればかえって企業イメージの大幅ダウンに繋がってしまうからだ。
ここで、両調査が「働きがい」を見る指標として設定している項目は、以下の通り。
Vorkers 会社評価項目(※Vorkersサイトより)
・待遇面の満足度
・社員の士気
・風通しの良さ
・社員の相互尊重
・20代成長環境
・人材の長期育成
・法令順守意識
・人事評価の適正感
Great Place to Work 「働きがい」を構成する5つの要素(※Great Place to Work® Institute Japanサイトより)
・信用:従業員がマネジメントをどれだけ信用しているか
・尊敬:従業員がマネジメントからどのくらい尊敬・尊重されていると感じているか
・公正:従業員がマネジメントに公正に扱われていると感じているか
・誇り:従業員の仕事に対するプライド
・連帯感:従業員が職場で感じている連帯感
表現は異なるが、それぞれ「社員の働きがい」について重要と考えられる要素が設定されている。これらの要素の総合点数の高い企業が、上位に選ばれているということになる。