それは、転職・就職のための情報プラットフォームを提供するVorkersの「働きがいのある企業ランキング」と、世界50ヵ国で働きがいに関する調査・分析・発表を行う専門機関Great Place to Workの「働きがいのある会社ランキング」である。この2つの調査をもとに、「働きがい」について考えてみよう。

関係者のクチコミで評価された
2つの「働きがい」ランキング

 両者は、よく似た名称のランキングだが、その調査方法は全く異なる。「働きがいのある企業ランキング」は、社員のクチコミサイト「Vorkers」に投稿された、回答時に現職だった、または1年以内に退職した社員によるレポート回答を対象データとして集計している。在籍中の社員だけでなく、退職直後の社員まで含まれているのが特徴と言える。昔『別れても好きな人』という歌が流行ったが、退職者であっても、会社が嫌で辞めたわけではない人が多い会社がランクインしていることが想定される。

 一方、「働きがいのある会社ランキング」は、調査参加企業としてエントリーした会社に対する「従業員へのアンケート」と「会社へのアンケート」という2つの調査によって選定される。Great Place to Workの調査はグローバルなので、評価手法、評価基準は世界各国で共通。従業員に対してだけでなく、会社側にも企業文化や人事制度・人事施策についてアンケート調査している点が特徴と言える。

 それぞれの調査で、2018年発表の上位企業は、以下のようになっている。

 さて、いかがだろうか。

「働きがいのある企業ランキング」(Vorkers)は大企業中心だが、「働きがいのある会社ランキング」(Great Place to Work)は、大規模部門(従業員1000人以上)、中規模部門(100-999人)、小規模部門(25-99人)に分けてランキングされている。大学生の就職人気が常に高い印象があり、前掲のマイナビのランキングに顔を出しているメガバンクや大手旅行会社の名前は、いずれのランキングでも上位に上がってこない。調査対象がそれぞれ異なるのでひとくくりにはできないが、王道の就活人気ランキングと「クチコミ」に重点を置いたランキングとは、少なからず傾向が違うようだ。