熱戦が繰り広げられたサッカーワールドカップロシア大会が幕を閉じた。
優勝したフランスをはじめベスト4に残ったチームは、いずれもレベルの高い試合をした。大国フランス、イングランドに対して小国であるクロアチア、ベルギーがベスト4に残ったのが印象的だった。クロアチアの人口は約440万人、ベルギーは約1110万人である。それが、世界180の国と地域が予選から参加する世界最大のスポーツイベントでベスト4に残ったのだから見事なものだ。
私はテレビで観戦しながら、シリコンバレーでのイノベーション活動や新事業創造との共通点に気付いた。そこからは、日本の針路に対する示唆が得られる。
注目したのは、これら強豪チームの選手たちの出身地と活躍の場だ。前出のベスト4に残った国は、いずれも白人中心の欧州国であるのに、クロアチアを例外として、あとの3チームにはアフリカ系移民をルーツに持つ選手が多い。各チームの登録選手は23人だが、そのうちフランスは15人(65%)、イングランドに8人(35%)、そしてベルギーに7人(30%)もアフリカ系の選手がいる。
ご存じのように、アフリカ系の選手は概して身体能力が高い。例えば、ベルギー代表のスター選手、ロメル・ルカク選手はガッチリとした体格だが足は速く、しかも俊敏だ。ルカク選手はベルギー生まれではあるが、もともとはベルギーの植民地だったコンゴの出身である。普段はイングランドの名門チーム、マンチェスター・ユナイテッドでプレーしている。
つまり、これらのチームは、自国の移民の中から非凡な選手を登用しているのである。もちろん、フランス、イングランド、ベルギーのようにアフリカに植民地を持っていた国は、アフリカからの移民を得やすいだろう。だが、それだけではなく、アフリカなどから選手を招聘し、自国の市民権を与えている例もある。
今、日本では少子高齢化が急速に進んでいる。このままでは、日本は着実に活力を失っていくだろう。若者世代が生き生きと活躍できない国が栄えるはずがない。まず若者を増やさないと大変なことになるという現実に、異を唱える人はいないだろう。