なおギリシャは、ユーログループの開催に先立つ6月12日、国名を巡り係争関係にあった隣国マケドニアが「北マケドニア共和国」に改称することで合意した。長年の係争関係に終止符を打ち、マケドニアにEU加盟への道を拓くことで、再び拡大を模索するEUに対する協力姿勢を見せ、ユーログループでの決定を後押ししたかったと見られる。

課題は山積したまま
ギリシャ景気は今後も厳しい

 金融支援から卒業しても、ギリシャは引き続きEUから定期的な監査(サーベイランス)を受ける。せっかく回復した財政政策の裁量も、EUが定めた財政基準を超えたら取り上げられてしまう。行財政改革や年金改革、労働市場改革など様々な構造改革の実施も義務付けられており、課題は山積したままである。

 また債務負担が軽減されたとはいえ、政府が抱える債務そのものが減ったわけではない。EU統計局によると、ギリシャの公的債務残高は17年時点でGDPの178.6%にも上る。債務は13年以降増えてこそいないが、いわゆるデッド・オーバーハング(過剰債務)の状態は全く改善されていない。

 つまるところ、ギリシャ景気は今後も厳しい状況が続かざるを得ないわけだ。国民の不安が再び高まり、政治情勢が不安定化する事態に転じる展開も十分考えられる。極右政党である「黄金の夜明け」のような反EU政党が再び勢力を伸張させれば、EUとの間で緊張が高まり、ギリシャ問題が再燃すると警戒される。

 今日までのギリシャ情勢の展開は、ある意味でEUの政策対応の不十分さの象徴と言える。そのギリシャで黄金の夜明けのような民族主義政党が勢力を伸張させて政情不安が高まれば、各国の反EU勢力を強く刺激することになると考えられる。経済的にも政治的にも、ギリシャ情勢は今後も欧州の不安定要因として燻り続けることになるだろう。