アマゾンエコーとの提携の衝撃
実際にマイクロソフトの世界最先端のAI技術をご紹介していこう。
まずは「声のAI」だ。コンピューターは、マウスを使ったり、キーボードを使ったり、画面を触ったり、というインターフェースが当たり前のようになっているが、新しいインターフェースとして注目されているのが、声だ。マイクロソフトでは、「対話のAI」と呼んでいる。前出の大谷氏が語る。
「ここは、多くの会社が競争にしのぎを削っている分野ですね。では、マイクロソフトは何をやっているのかとよく聞かれます。マイクロソフトは、AIの『Cortana/コルタナ』をパーソナル・デジタルアシスタント・ソフトウェアとして開発しました。このCortanaのエンジンを使って、さまざまなデバイスが『対話のAI』として活用できる研究を推し進めています」
このCortanaは、日々とんでもないスケールで進化している。約7億台のWindows 10搭載デバイスで使われ、180億以上の質問に回答、毎月1億4800万のアクティブユーザーに使われており、これがそのままビッグデータとして改善に使われるのだ。
「Cortanaは、いろんなものに組み込めるようになっています。今、実験的に高級スピーカーブランドのharman kardonとコラボレーションをしてスピーカーを作っていますが、今後は大手スピーカーメーカーやデバイスメーカーがCortanaを搭載することが決まっています」
そして2017年8月末に、サプライズの発表があった。なんとアマゾンとコラボレーションすることを発表した。アマゾンのCEOジェフ・ベゾス氏とナデラCEOが直接会談して決定したのだ。アメリカ本社のシェリー氏が言う。
「アマゾンエコーで、Cortanaが使えるようになります。外出中でアマゾンエコーが手元になくても、Cortanaを通じて『ペーパータオルを買い物リストに入れておいて』と伝えることもできます。逆にアマゾンエコーからCortanaを呼び出して、指示を出すこともできる。お互いの機能を使えるようになるということです。我々としては、Cortanaをいろいろなところで使えるようにしたいんですね。アマゾンエコーでも、パソコンでも、スマートフォンでも」