30日、ワシントンで日米首脳会談が開かれる。存亡の危機に立つ民主党政権が米国に後ろ盾を求める気配は濃く、会談の影のテーマは「日本の政局」だろう。
野田首相を持ち上げた
ワシントンポスト紙
「ここ数年でもっとも賢明なリーダー」。
ワシントンポストは19日の電子版で、野田首相を論評する記事を掲載した。
「派手なだけで問題解決能力がなかった首相」ばかりが続いた日本の政界で、野田は有権者に言いにくい困難な課題に取り組み、「日米同盟を戦略の軸に引き戻した」と評価している。
珍しい誉め言葉だが、素直に喜んでよいのだろうか。
首都で歴代の政権や議会をウオッチしてきたワシントンポストの視点は、ホワイトハウスの見方を映し出している。
自民党政権に寄り添ってきた米国は、日本の政権交代を不安そうに見守ってきた。民主党政権の初代首相・鳩山由起夫は「東アジア共栄圏」を語り、対米関係の再構築を示唆した。普天間基地問題でも「国外に」と主張し、親米派から「日米関係を悪化させる」とボロクソだった。次が「市民派」の菅直人。TPPでアメリカを喜ばせたが、腹の底では違うことを考えているのでは、と警戒された。
小沢一郎の存在にも米国は違和感を持っていた。民主党の創業チームである「トロイカ」は、どう見ても「親米」ではなかった。
「同盟を戦略の軸に戻した」という評価は、ホワイトハウスが野田の登場でホッとしていることをうかがわせる。小沢・鳩山・菅のような「危険性」はなく、外交関係に敢えて角を立てる行動はないと見ている。伝統的な日本の保守政治家、つまり官僚の言うことをよく聞く調整型で、そんな野田が日本が抱える困難な政策課題を克服できれば、「他国の見本となるリーダーになる」というのだ。