1ヵ月で一流のすし職人になれる?一般的なイメージを捨て、ベストプラクティスを追求
ブルー・オーシャン・シフト研究所日本支部 代表
慶応義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA(経営学修士)取得。外資系コンサルティングファーム、投資銀行、米系資産運用会社、香港でのプライベートエクイティファンド投資、日本でのバイアウトファンド勤務を経て、シンガポールにてINSEAD 起業家支援企業に参画。
INSEAD時代に師事したチャン・キム氏に任じられ、世界中に拠点を有するブルー・オーシャン・シフト研究所の日本支部の代表として、新刊『ブルー・オーシャン・シフト』では、付録の日本ケースの執筆を担当している。著書に『一流の育て方』(ダイヤモンド社)『最強の働き方』(東洋経済 新報社)、『最強の健康法』(SBクリエイティブ)などがある。』
堀江:しかも、僕たちは、その職の最先端をガイドするんで。例えば、すし職人だったら、別に毎日働く必要ないんですよ。
ムーギー:そうなんですか?従来のすし職人の修行方法と大きく異なりますね。
堀江:毎日築地に行く必要もないし、毎日働く必要もない。知らないだけで、一般的なイメージとは異なる、ベストプラクティスがあるんですよ。そして、それこそ、その人の意欲やセンスがあれば、1ヵ月で一流のすし職人になれますよ。
ムーギー:“一流のすし職人”の定義にもよりますが、スキル習得自体は、もっと効率的なベストプラクティスはありそうですよね。伝統的な徒弟制度に縛られず。まあ、それが好きな人はそれを選べばいいとは思いますが。
堀江:週に3日ぐらい働いて、あとは好きに生きられる。他のことをしてもいいし、食べ歩いてもいいし。
ムーギー:従来の“こう生きなければならない、こう学ばなければならない”という思い込みから自由に生きる、そういった生き方ができる人たちを増やす機会をつくるんですね。
堀江:みんなそういう生き方ができるんですよ。できるのにもかかわらず、やってないだけなんです。
“コミュニティを複数持つ社会”へのシフトが重要
堀江:ゼロ高を設立したのは、要は、来るべきこれからの世の中を見据えて、やっているわけです。AIの進歩で、既存のホワイトカラーの仕事はなくなっていき、将来はみんなが定年後のサラリーマンみたいになっちゃう。やることがなくて、人間関係も希薄になって、ボケていく人も結構増えると思うんですよ。
そんな時代が到来した時に、やりたいことをやって、多種多様な人たちと常日頃から交流があり、しかもコミュニティを複数持つような生き方が、理想的だなと。そういう社会にシフトしていくための組織としてつくった。
ゼロ高もそうだけど、HIUをやっているのも、来るべき将来を見越して、そんな風に行動できる人をつくるためですよね。
ムーギー:堀江さんがおっしゃるような生き方を、実際にしている人は、現状は少数じゃないですか。やらない人は、いわゆる「一般的な生き方」と違うから、怖いと思うんですかね。
堀江:そうそう。
「親ブロック」「教師ブロック」を上手くやり過ごす
堀江:あと、好きなようにやろうと思っても、親や教師は「高校にだけは行きなさい」みたいなことを言う。ゼロ高は、親ブロック、教師ブロックをやり過ごすための手段も提供します。まあ、僕がとりあえず東大に行ったみたいな話ですよね。
ムーギー:というと?堀江さんはどういった目的で東大に入学されたんですか。
堀江:僕は大学で何かをしたいと思っていたわけではなく、単純に東京にコスパ良く出てくるにはどうしたらいいのかを考えて、東大に入学したんです。学費も安いし、親は文句を言わないだろうと。
地方の親って、子どもを地元に縛りつけようとするんですよ。大学に行くんだったら、地元の九州大学でいいじゃないかと言い出す。けれど、さすがに東大に受かったら、まわりの大人が、「貴文君は東大に受かったんだから、行かせてやりなさい」って言う。東大に合格すれば、誰からも止められず、すんなりお金を出してもらって、東京に行けると踏んだんです。
ムーギー:途中で大学をやめられたのは、行って見たら価値がなかったからですか。
堀江:いや、価値はあったんです。東大入学は、僕にとっては東京に出るためのチケットだったんで。
ムーギー:入学した時点で、価値はあった、目的は達成したと。
堀江:そう。「東大入学」はお金を出してもらって、東京に行くための、ただのチケットなので、入学後はあんまり価値がないんですよ。さらに言えば、卒業しなくても東大に入っただけで、バリューは付くんで。
ムーギー:確かに、日本は大学は“この大学に入れました”というアナウンスメント効果が重要で、別にそこで何を勉強したかはあまり問われない時代が長らく続きましたからね。