つまり、異次元緩和のアベノミクスは永遠にデフレ脱却をせず、不況でないともたない政策であり、現状をただもたせるだけの政策なのである。

金利は上昇する
日銀の金利抑制も限界に

 実際、政策の限界はすでに表面化し始めている。

 銀行は超低金利が長く続くなかで収益が悪化、経営体力を弱めている一方で、海外の金利上昇圧力を受けて、日本国債離れが進んでいる。国債市場は2018年に入って、7回も国債の取引が成立しない事態が生じている。

 こうした「副作用」を和らげるために、日銀は7月末の政策決定会合で長期金利(10年債の利回り)の上昇(0.1%から0.2%)を容認する金融緩和の一部修正を行った。ところが、さっそく金利上昇を見越して投機筋によって乱高下する事態となった。

 長期金利が0.11%になった状況で、日銀が0.1%の指し値オペ(指定金利で無制限に国債を買い入れ)を行うやいなや、日銀の国債貸しを利用して、投機筋が「空売り」を仕掛けたのである。

 投機筋 は日銀から1兆円の国債を借り、それを空売りして濡れ手で粟の儲けを得たのだ。

 株式市場でも日銀が株式を買い支える「官製相場」になっており、株価が下がると日銀が買いに入るのを見越して、投機筋が同じように空売りで儲けている。中央銀行が株高・低金利を維持するために、投機筋の空売りの機会を提供するという異常な事態が生じているのである。

先端産業が育たず
産業構造の転換も遅れる

 異次元緩和は財政放蕩のツケ払いを先送りするだけでなく、競争力のなくなった「ゾンビ企業」を救済し続けることで、新しい産業構造への転換をますます遅らせていく。

 やがてつぎの金融危機が訪れた時に、異次元金融緩和はもう効かなくなるだろう。そして問題が発現した時、日本の産業衰退が深刻化していることが一気に露呈する。

 その時、「失われた20年」が「失われた50年」になってしまうことに気づかされる。

 すでに、スーパーコンピューター・半導体・液晶・液晶テレビ・太陽光電池・携帯音楽プレーヤー・スマホ・カーナビなど、かつて世界有数のシェアを誇っていた日本製品は見る影もなくなっている。1990年代まで若者が持っていたものはソニーかパナソニックだったが、いまやアップルかサムスンだ。話題のスマートスピーカーではグーグルかアマゾンで、日本メーカーはどこにもいない。