テレビからネットに雑誌、書籍まで、世の中にはまことしやかな「健康情報」が、日々次から次に流れている。コレを食べると「やせる」「血液さらさらになる」などとテレビで放送されると、翌日にはスーパーからその食品が消えるといったことが繰り返されている。
だが、実際にはその情報の信頼度はバラバラで、何の科学的証拠もないものが「とても健康にいい」と喧伝されていることも少なくない。
では、いったい何を信じればいいのかと思ってしまう人も多いのではないだろうか。
そこで、ハーバードメディカルスクールの教授であり医師としても活躍する著者が、数十万人を何十年も追った大規模研究など、信頼性の高い膨大な研究の網羅的な分析によって明らかになったことを集め、「これだけは間違いなく『いい』と断言できる」という食物・習慣を抽出した。その内容を一冊にまとめたのが『ハーバード医学教授が教える健康の正解』だ。ここでは同書から「ビタミンD」の驚きの効果について論じた部分を特別に公開する。

ビタミンDは高齢者にはとりわけ重要

ハーバード教授が「ビタミンDだけはサプリを摂る」という理由

 ビタミンD不足は、とくに高齢者にとっていろいろな意味で深刻な問題だ。オランダのある研究で、ビタミンDは脳機能に影響をおよぼすほか、高齢者の運動能力にも関与していることが明らかになった

 この研究は55歳以上の男女2000人以上を対象に、階段の上り下り、イスから立ち上がる、足の爪を切るといった簡単な日常動作能力のテストを行い、それからビタミンDの血中濃度を測定して、運動テストの結果との関連性を調べた。

 その結果、ビタミンDの大幅な欠乏が「動作障害の数の増大と関係している」ことが確認されたと、『ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム』が2013年に報告している。

 これはごく当然のことだ。ビタミンDが骨の強化・維持に重要な役割を果たしていることが初めて確認されたのは2世紀ほど前のことで、いまでは骨粗鬆症予防に欠かせない手段となっている。

 骨粗鬆症とは、骨密度が減少する一般的な病気で、骨折をはじめさまざまな合併症を招く。骨中のカルシウムが減少することが主な原因だが、ビタミンDには腸からのカルシウム吸収を促進する働きがある。ビタミンDが骨粗鬆症の発症を食い止められるというエビデンスはないが、潜在的なダメージを軽減できる場合が多い。

 国際骨粗鬆症財団によれば、「ビタミンDは、骨と筋肉の発達、機能、維持を助ける栄養素です。その意味で、骨強度を維持し、転倒や骨折を予防するうえで欠かせません。……ビタミンD欠乏を防ぐことは、転倒・骨折の予防に多大な効果があります。……ビタミンDは骨代謝を促進し、転倒を防ぐことにより、骨折リスクを低下させるのです」。