「なる早」「今日中」という危険ワード

 締め切りを決めておらず、のんびり進めていたら「あの資料、そろそろできているよね?」と聞かれてあわててしまう……。これは「あるある話」だと思います。

 締め切りを決めていたとしても、それが「あいまいな締め切り」であったなら、決めていないのと同じです。

「なる早でお願いします」
「今日中にできれば助かります」
「今週中でどうでしょう?」

 クライアントさんに「これ、いつまでにやればいいですか?」と尋ねると、しばしばこんな答えが返ってきます。

「なる早」には基準がありませんから、いくらでも先延ばしができてしまいます。もしガウディだったら「なる早ね。じゃあ、サグラダ・ファミリアはあと50年くらいで仕上げますね」と言うかもしれません。

 人によっては「なる早」は、来月もしくは来年ととらえられる可能性もある。それほど「なる早」は危険な言葉です。

 時間という数えられるもの・はかれるものに対して、「目盛りがついていない言葉」を使ってはいけません。

「なるべく早くっていうのは、明日までですか? ぼくは来週火曜日の13時まで時間をいただけると助かりますが、それでもいいですか?」このくらい具体的に確認しましょう。

 よく言われることですが、「今日中」というのも業界ごと、会社ごと、人それぞれ違います。ぼくはいつも「何日の何時までと決めなさい」とスタッフに言っています。

 今日中とは23時59分までなのか、それとも相手が今日、退社する時間、たとえば17時59分までなのか。23時59分でいい場合、明日の朝イチでもいいのか。明日の朝イチとは何時何分なのか。

「なる早」「今日中」「大至急」「今月中」

 このような感覚的な言葉は排除し、みんなに共通している「時間」という目盛りを使う習慣をつけることです。締め切りはつねに「日付と時間」で確認しましょう。