「上下関係」を排除し、
「目的」にフォーカスする
チームで仕事をするときに何よりも重要なのは、「仕事の目的」を優先すること。
「この仕事で何をやるか」が大切です。
これはあたりまえのことに思えるかもしれませんが、案外難しいものです。
社内のチームであれば、役職や年齢などの「上下関係」、部署と部署の「利害関係」が、仕事の目的よりも優先されてしまうことがあるでしょう。
社外の人とチームを組む場合は「発注側と受注側」という上下関係が生じてしまうのです。ぼくもいってみれば、「その会社のプロジェクトの下請け」です。
ところが実際のところ、クリエイティブディレクターは「先生」などと呼ばれ、「お願いします」と言われる立場におかれがちで、これもある種の上下関係に思えて、居心地が悪くなります。
居心地が悪いばかりか、「発注側と受注側」という関係性をもち込んでしまうと、仕事の目的を果たせなくなります。
仮にクライアントが、「うちの会社の認知度を上げるために、イメージキャラクターをつくってほしい。そうだな、くまモンみたいなかんじで、うさぎピョンというのを頼みますよ」と言ってきたとします。
そこに発注側と受注側という関係性をもち込んでしまうと、「はい、うさぎピョン、よろこんで! さっそくデザイン案をつくってプレゼンをします」という段取りになってしまいます。何も考えず、いきなり「お願いされたことを、いつまでにやる」というスケジューリングに集中してしまうのです。 しかし、キャラクターで会社の認知度がベストのかたちで上がる結果となるかといえば、違うでしょう。
逆にぼくが「先生だぞ俺は。俺のセンスに従え」と独りよがりな押し付けをしたら、「デザインはおもしろいけれど、誰にも受け入れられない」という奇妙なものをつくってしまう可能性もあります。 いずれもチームとして機能していない、最悪のケースです。
極端な例を出しましたが、どんな会社のどんな小さなチームでも、似たようなことが行なわれている気がします。
チームでいちばんえらい人が「これをやろう」と言ったからといって、いきなり段取りに入ってはいけない。
チームの関係性に気をつかって、「反対したら気まずくなるかもしれない」と、目的を歪めてはいけない。
同じ会社であろうとなかろうと、役職が上だろうと下だろうと、業種が同じであろうとなかろうと、「チームの仕事の目的」を共有しなければなりません。