せっかく説明しようと会見を開催したのに、ふたを開けてみれば大炎上し、疑惑が再燃…。加計孝太郎氏の記者会見は、マスコミ対応の失敗事例のモデルケースだった。不祥事に悩む企業や組織の方はぜひ、このケースから多くを学んでいただきたい。(ノンフィクションライター 窪田順生)
悪手連続の記者会見で
疑惑が再燃してしまった
「まだやっていたの?」と驚かれる方も多いかもしれない。
今月7日、学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長が記者会見を開催したことで、消えかかっていた「カケ祭り」の火がブスブスと再燃しそうな勢いなのだ。
といっても、何か新しい事実が発覚したなどは一切ない。会見では相も変わらず、国から認可を受ける立場のくせに、安倍首相とゴルフや食事に行くのはいかがなものかとか、2015年2月に安倍首相と面会したんだろ、という、いつものやりとりが延々と続くだけだった。
実際、「総理のご意向」文書のスクープで、この騒動の着火役である「朝日新聞」も以下のように、行間から悔しさがにじむような記事を掲載している。
「加計理事長、首相との面会改めて否定 誤解招いたと謝罪」(朝日新聞デジタル10月7日)
ご存じのように、この問題は誰と誰が会った、あいつとあいつが仲良しだから便宜をはかったに決まっているという「疑惑」オンリーで、残念ながら「朝日新聞」をはじめとするマスコミは物証を出せず、首相や加計氏の「自白」に頼っているうちに、しぼんでしまった。
この会見で、加計氏を吊るし上げて、何かしらの新証言を勝ち取ろうとしていた記者たちからすると、完全に空振りとなってしまったのである。
では、なぜそんな状況にもかかわらず、まるで1年前に時計の針が戻ったかのようにこの問題が「再燃」してしまったのかというと、加計学園側の「会見対応」に大きな原因がある。ただでさえネガティブなバイアスがかかっている中で、ことごとく「それはやっちゃダメでしょ」という悪手を打ってしまっているのだ。