新野隆
NECの衰退が止まらぬ中、存在感の薄かった新野隆社長がいよいよ豹変した。GEから副社長を招き、役員の競争を促すとともに、報酬の業績連動を強め、社風を変えようとしている。

 NECの新野隆社長はどちらかというと寡黙なタイプだ。15人抜きで社長に抜てきされて注目を集めた前任の遠藤信博氏(現会長)が話し好きなのに比べて、新野社長の発信力のなさは否めなかった。

 前任の遠藤氏に重用されたことから、“子飼い”と目され、新野社長本人も独自性を打ち出そうとしているようには見えなかった。

 その新野社長が最近、豹変した。「あまりしゃべらなかった人が、他の役員に強く意見を言うようになった」(NEC幹部)。

 それだけではない。新野社長は1月に中期経営計画を発表して以降、8000人の社員と対話する「タウンホールミーティング」を初めて実施している。事業所、子会社など25カ所を巡回中で、それが一巡したら二巡目に入る。年内は対話を続けるという。

 新野社長が汗をかくのには理由がある。新たな中計の狙いを社員に伝えなければならないというのがそれだ。

 新中計はリストラ頼みの迫力に欠けたビジネスプランであり、社員にその真意を理解してもらえなければ、モチベーションを下げかねない微妙な代物だった。