日本でも中高年の「プチ整形(美容整形・医療)」希望者が増えているようだ。果たして、その動機は──。
米ノースウエスタン大学の研究グループは、大学病院2施設と11の皮膚科クリニックの協力で、2016年12月4日~17年8月9日に受診した患者を対象に、プチ整形を望む動機を調査している。
評価対象は529人(女性440人、男性89人)で、45歳以上が286人(54%)だった。対象者のうち、白人の比率が75.5%と高く、大卒以上が9割を占めた。また、半数が2回以上、プチ整形を受けていた。
最も当たり前な「きれいになりたい」を除くと、「well-being:社会・心理的な幸福のため」が67.2%、「自分へのごほうび」が61.3%、「プロフェッショナルらしい外見のため」が54.8%(複数回答)など、自分自身を満足させるための回答が上位を占めた。予想に反して他者の意見は重視されず、配偶者やパートナーの影響はほとんどなかった。
また45歳以上より、45歳未満の人の方が、有意に「アンチエイジング」を意識してプチ整形を行うことも判明している。老化の入り口ほど、抗老化に走りやすいということだろう。
日本でも関西大学総合情報学部の谷本奈穂教授が美容整形・医療に関する動機調査を行っている。
13年の調査は、2060人の男女(男女比は1対1、20~60代までそれぞれ412人)が対象。3割が会社員で、専業主婦は2割を占めた。学歴は大卒が36.3%、ついで高卒が32.4%だった。
同調査の結果でも、プチ整形を受ける動機は「自分が心地よくあるため」が最多で44.1%を占めた。一方、古典的な「人並みの外見になりたい」「異性に褒められたい」という動機は1割台だった。
人は見た目が云々、とはいうものの、二つの調査を見る限り「客観的な他者の目」よりも、自分に対する「自分自身の評価」や「想像上の他人の目」の方がよほど動機に影響している。
理想像を追求するのはよいが、自縄自縛に陥らないよう、適度な一線を引く必要があるだろう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)