テクノロジーの進化でさらなる激変期に突入したメディア業界の最前線を追う本連載。第6回では、『週刊ダイヤモンド』10月27日号の特集「メディアの新序列」のスピンオフとして、世界中のメディアが注力する定額課金モデル「サブスクリプション」の管理プラットフォーム会社、ズオラ・ジャパンの桑野順一郎社長のインタビュー(上)をお届けします。サブスク導入が進んでいる業界、企業の実例について聞きました。(聞き手/週刊ダイヤモンド副編集長兼ダイヤモンド・オンライン副編集長 山口圭介)
――「サブスクリプション」(定額課金)の管理プラットフォームを提供するズオラを立ち上げたのは、CRM(顧客情報管理)最大手のセールスフォース・ドットコム11人目の社員だと聞きました。
ズオラの創業者は、テクノロジーとしてのクラウドビジネスの立ち上げをセールスフォースで進め、サブスクリプションビジネスをゼロから数千億円規模にまで収益化しました。そこでのさまざまな試行錯誤、そして積み上げたノウハウをもって11年前に設立したのがズオラです。サブスクリプションの仕組みを提供する会社を設立するというと、多くの人にクレイジーだと言われたそうです。
――創業者のティエン・ツォ氏はかなり早いタイミングで、サブスクリプションビジネスの拡大を確信していたように思えます。
セールスフォースのビジネスモデルは、クラウドでのサブスクリプションビジネス。そのときの経験から彼は、世の中全てがサブスクリプションにシフトすると確信したそうです。ただ、サブスクリプションは当時まだ、かなりニッチなビジネスだったため、起業するのはクレイジーだと言われたわけです。
日本でサブスクリプションという言葉が広がり始めたのはここ1、2年ですが、ズオラはグローバルで1000社以上に導入され、4月にはサブスクリプションビジネスの管理プラットフォームの会社として初めて上場を果たしました。