盛況に終わった独身の日
ショッピングの域を超えた「祭り」に

 今年の独身の日のショッピング・イベントは盛況に終わった。

 中国においてこのイベントは、ショッピングの域を超えた一大エンターテインメント・フェスティバルとして扱われているようにさえみえる。その証拠にアリババは、世界的な歌手であるマライア・キャリーや人気モデルのミランダ・カーをはじめ、世界の著名芸能人などを招いたイベントを開催し、独身の日を盛り上げた。その内容はテレビ放送で生中継された。

 独身の日1日だけでアリババは、3.5兆円もの売上高を達成した。この売り上げ規模は、アマゾンの安売りセールである“プライムデー”の売り上げを上回っている。この背景には、中国の消費者の旺盛な消費意欲がある。それに加え、アリババが多くの人の行動に影響を与えてきたことも見逃せない。

 2009年、アリババは独身の日のショッピングイベントを始めた。2013年の独身の日の売上高は57億ドル(6400億円程度)であった。このイベントを企画し、成功に導いたのが、アリババの張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)だ。

 同氏はジャック・マー氏の後継者に指名されている。チャン氏は財務会計の専門家だ。攻め(できるまで徹底的にやる)を持ち味とするジャック・マー氏に比べ、チャン氏は財務面を中心に経営管理に関する理論とその実践方法を熟知した、より堅実的な人物といえる。

 独身の日の盛況ぶりを見ていると、チャン氏は多くの人々を巻き込み、社会を変化させるほどの発想・行動力も持ち合わせている。攻めと守りの両面で才覚がある。これは、今後のアリババの経営トップとして欠かせない資質だ。

 見方を変えれば、チャン氏はマー氏同様に、多くの人々が「したい!」と思うことを見つけ、それへの関心や共感を高めることに長けた人物だ。チャンスを見いだし、成功に導く構想力と行動力がある人物といってよい。その意味で今年の双11は、チャン氏の実力を確認するよい機会になった。