「大切に扱う」という意識に欠けた行動は、不快感を与える

 このような接客スタッフとお客側との「感覚」「常識」「前提」が異なると「モヤッ」「イラッ」の要因に繋がります。

 「期待値」という言い方にも置き換えられるかもしれませんが、咄嗟の出来事については、「期待値」よりも「感覚」によるものが大きいのではないかと考えます。

 再三申し上げていることですが、お客さまは十人十色。

 いえ、そのときの感情や体調、背景というものにも影響をうけますので十人百色と言えます。そのような中で、接客基準についてどこに照準を合わせるのか迷うことがあるかもしれません。

 その判断基準となるものは商品やサービスの価格帯、会社や店舗が打ち出しているコンセプトもひとつの目安となります。

 ただし、高額ではない商品だとしてもお客さまがお金を払った商品はお客さまのものです。大切に扱うという意識に欠けた行動は不快感を与えます。それが衛生面にもかかわる食品だった場合には、なおさらかもしれません。

 商品を落としたならば、「失礼しました」の一言ぐらいはほしいものです。

 すぐにお詫びできないスタッフが散見されるのは残念なことですが、だからこそ、当たり前のことを当たり前にできるスタッフがいい意味で際立つとも言えますね。

【今回のポイント】
 床に落ちたものを平気でお客さまに渡すのは、絶対にNG!
 お客さまがお買い上げになった商品を「大切に扱う」という感覚を身につけよう。

七條千恵美(しちじょう・ちえみ)
株式会社GLITTER STAGE 代表取締役
1973年京都府出身。同志社大学卒業後、日本航空に入社。
お客さまから多くの賞賛をいただき、さらに際立った影響力を持つ客室乗務員として「Dream Skyward優秀賞」を受賞。取締役から表彰を受ける。また、TOP VIPフライトの中でも最上級ハンドリングのフライトであった皇室チャーターフライトのメンバーに抜擢された経験を持つ。経営破綻後の2010年より2年間、客室教育訓練室のサービス教官として約1000人以上の訓練生を指導し、多くの優秀なCAを輩出。
教官としての会社評価は、評価最上位に該当するS評価を受けるなど教官としても数々の実績を残す。サービスマインドの強化と身だしなみの授業は評価が高く「気づきの女王」「身だしなみ隊長」と呼ばれる。
現在は、株式会社GLITTER STAGEの代表取締役として接客マナー研修や社員教育などで全国を飛び回る。
「強い牽引力とわかりやすさ」には定評がある。主な著書に、『接客の一流、二流、三流』(明日香出版社)がある。