飲食店にとって書き入れ時の忘年会シーズンが始まった。宴会の予約は飲食店にとって生命線だが、当日キャンセルや無断キャンセルの多さに頭を悩ませているのが実状だ。「サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会」(経済産業省委託調査事業)によれば、無断キャンセルによる損失は年間2000億円にも上る。
「忘年会の時期は当日予約客が現れないという事故が起きやすい」と、新宿の居酒屋オーナーは言う。忘年会の幹事が場所取りをする際、気に入った店をいくつも予約しておき、上司などの反応を見て最終的にお店を決定するというケースが少なくなく、行かないお店の予約取り消しを忘れてしまうことがままあるためだ。通りすがりの客でうまくその席を埋めることができればいいが、そうでない場合、店は機会損失の発生に加え、用意した食材が無駄になるというダメージも被る。
店の中には、前日に幹事に予約の確認をして対策を講じているところもあるが、たいていの場合、それは店長の仕事だ。接客で忙しい合間を縫って、「俺のことを疑っているのか」と幹事に不快に思われないように注意を払いながら電話をしなければならず、店長の負担が増すばかりである。